人間の集中力は金魚より短い
2015年のマイクロソフトの調査になりますが、人間の集中力は8秒だと発表されました。2000年は12秒だったそうなので、4秒も縮まったことになります。ちなみに金魚の集中力は9秒。人間は金魚にも負けています。
その後の調査は不明ですが、動画広告のスタンダートは「6秒」になりつつあります。これはYouTubeの「パンパー広告」(必ず視聴させられる広告)の仕様が6秒であることから、一気に定着することになりました。確かに、YouTubeを視聴していると、この6秒の広告というのは絶妙な長さに思えます。短いとも長いとも思わせない、ストレスを感じない、ギリギリのラインです。結局2本続けて見せられることがありますので、トータル12秒見せられていることになりますが。1本12秒だと長いと感じてしまうことでしょう。
「バンパー広告」に対して、「TrueViewインストリーム広告」は長めの動画広告で、再生から5秒経過すると広告をスキップできるという形式です。「あと5秒でスキップできます」と表示されるものです。
いずれにしても5~6秒、というのが動画広告のスタンダードになっています。
つまり、30秒の動画だったとしても、最初の5秒が非常に重要であると言えます。最初の5秒が退屈だと即スキップされてしまうということです。
これはつまり、視聴者の「広告」=「見たくないもの」という非常にネガティブな反応から、ギリギリのところまで切り詰められて来ている・・・という状況なのでしょう。なぜYouTubeのバンパー広告が6秒なのかは、恐らく、かなり研究されつくされた統計的な結論なのだと思われます。
これは動画広告の話ですが、実際にYouTubeの動画をザッピングする時も、おおよそ3~5秒くらいで「見る/見ない」を判断しているように思います。スマートフォンの影響だと思いますが、恐ろしく短い時間で見るか見ないかをジャッジされています。つまり、動画の最初の5秒は、命とも呼べる時間になっています。となるとそこで何を見せるべきかは自ずとわかります。
動画の最初の5秒は何を見せるべきか
では最初の5秒に何を見せるべきでしょうか。
- その動画の結論部分
- 最も印象的で「映える」シーン
- キャッチーな言葉
お笑い芸人が「出オチ」でしばし登場と同時に笑いを取ろうとするように、それに似た「つかみ」を作らなければなりません。制作者の心理としては、時系列に順を追って見せたい、という気持ちがあるかもしれません。しかし、現在のネットの世界では
「起承転結」ではなく、 「結起承転結」「転起承転結」
というような構成を考えてみる必要があると思います。
これは動画だけでなく、ブログ等の文章やWEBページの構成にも当てはまります。つまり、まず「最初に結論を持ってくる」ということです。
ちなみに起承転結の意味は、下記のようになっています。(Wikipediaより)
- 起: 主人公の置かれている状態、劇の説明
- 承: 主人公の置かれている状態にある事件が起こり、これから段々劇が展開して行く過程
- 転: 一つの劇のヤマ場で結果に赴く為の転化
- 結: 承、即ち事件とそれによって起こった転化によって出された結果
起承転結は4コマ漫画をイメージするとわかりやすいでしょう。
新しい構成 !? 「結転」「転結」
しかし、さらに現在の動画の世界は、
「結起転結」「転起転結」
と「承」が限りなく無いものもありますし、TikTokやインスタのリールを見る限り、人気の動画は、
「結転」「転結」
という、その動画において、もはや登場人物が誰か、どういう経緯なのか、まったく必要とされいません。そういった動画がなぜ人気を集めているのか、これは人間の快楽的な趣向によるものが大きいと思いますが、「今」の動画編集というものを考えるきっかけになることでしょう。
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